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一緒に住んでいる女に食わせて貰ってるんだ、と男は言った。
耳に口を寄せて言うものだから耳がこそばゆくていつまでもその言葉は後に残った。耳元で言ったのはそれだけだったから、ココだけの話というだけのことで、それだけのことだった。
休み時間に窓の外に向かって、古い歌の詞を口ずさんでいる男の目は、ふたり並んでそこまで歩いてきて「暑いな、」「暑。」と言い合った後だったが急に歌いだしたその目を盗み見たら、何も見てはいなかった。
♪〽白い薔薇の花びら真赤に塗り替えたら私をお城まで連れてって〽
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