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マイダーツとカード
それから、彼女は毎日現れた…
俺が指定した数字を出したら、カードをプレゼントすると言うと必死に投げ込んだ。
だけど、自分の中で決めていたのだろう…続けられたら作ろう…今度こそ、諦めずに…と思っていたのだろう。
「今日、ターコイズブルーのカードを売って下さい!」散々、カードを作るか通すか迷っていた彼女に迷いが無くなった。
1枚だけ店にある彼女の好きな色のカード…カードを作るとデータが残る…それでも良いと決断したのだろう。
「やっぱりダーツが好きなんです」そう言って初めてカードを通した。
前と同じカードネーム…堂々と投げてるという決意…追加に入れた言葉は…trust U…決意の現れ…何かを変えよう、何かしようとする人間の変化を見た。
相変わらず、誰も来ない店で彼女と投げ合う…目標は俺との百戦らしい。レベル的に勝てるわけないのに、彼女は必死に投げ込む…俺も本気で戦う。オートハンデという事も出来るが、彼女は望まないだろう…可愛いげのないオバハンだ…文句を言うに決まってる…正々堂々と戦いたいと思ってるはずだ。
彼女の投げ方は毎日、違って、そして雑だ…
気持ちが散漫だと言っても良い…
本人も分かってるようで、あまり突っ込むと…あーだこーだ言ってくる…面倒なやつだ。人の言う事も聞かない頑固な感じで、言う気もなくなる…投げる感じは綺麗なのに、もったいない…だが、知ったこっちゃない。
俺は俺の投げ方で、俺に耳を傾ける人にしか教えない…当然、彼女には教えない。
プロフィールが遅くなったが、俺は40代前半…彼女は30代半ば…歳の差、5歳…始めに現れた彼女の若い彼は20代前半らしい…ずいぶん落ち着いた雰囲気だ。
今さらだけど、俺は丸山たけし…常連客の彼女は若にゃん…そして、その若い彼はネンジくん。
若ちゃんがカードを作った事でネンジくんもカードを作ってくれた。というより、その日は…どうやら2人でダーツショップに行って、若ちゃんのマイダーツを手に入れたらしい…もちろん、ネンジくんのプレゼントだそうで、嬉しそうに店に来てくれた。
仲間が増える事は嬉しい…何日も誰も来ないのが普通だったのに、今はそうじゃない…別に1人でも平気なんだけど、それでも楽しんでる人がいると嬉しいと久しぶりに気付いた。
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