決意と覚悟

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決意と覚悟

そんな平穏な日々は長くは続かなかった… やっぱり、当時の出禁の話を持ってくる常連客が現れた…しかも、それはよりによって若にゃんの師匠と崇めてる…俺の元ダブルスの相方の先輩だった… 仕事も同じ会社で、何にしても職人肌…頑固者でストイック…でも、正直なとこ…最近は昔ほどダーツに対して全くストイックではない。 酒も入り、若にゃんと先輩は互いに言い合いになる…便乗して、輩のようなヤツまで言い合っている。 俺は見て見ぬふりだ…店主のくせに面倒事に巻き込まれたくない… 「それでも今は投げたいんだよ!強くなりたいんだよ!女とか関係ないんだよ!」若にゃんは泣きながら言いはなっていた。 「でしゃばる女は嫌いなんじゃ!お前、殴ったろうか!?」 「殴ってスッキリするんなら、それでも良い!殴られて、そっちの気がすんで、それで私がまた投げれるんなら、それでエエ!」そんなやり取りが繰り広げられる…彼女は食い下がらなかった…泣いていても… 「殴るんなら表に出ろや!」雰囲気が悪くなる事には間違いなかったが、俺は店主なのに…その空気を変える事も出来ず、何も出来なかったが…正直にぶつかり合った結果、ケンカになる事もなく…殴り合う事もなく…その日、言いがかりをつけた男達は帰った。 若にゃんは泣いていたけど、きっと伝わったと、思う…真剣にダーツをしたいって事も、ここにいたいという事も… 彼女が毎日、一生懸命に来る事で、ケンカになった常連客が来なくなるのではないいかと思ったが…そんな事はなかった。 遭遇して、言い合いはするものの…まるで、わだかまりがなくなったように一緒に投げていた。俺は何もしていないのに、何も出来なかったのに…彼女は彼女自身で居場所を作った。あんなに誰かと向き合って、ぶつかり合えるんだろうか…それほどまでに、彼女にとっての決意や覚悟が大きかったのだろう…
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