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言われるままに、モーツァルトの小品とショパンのエチュード、ベートーヴェンのソナタを弾いた。自分でもしっかりと弾けたと思う。
でもね。その時に、国立の音大で准教授をしているという、このすごい先生に言われた言葉は忘れられないよ。
「悪くはないわ。指も滑らかに動くし、基礎もできている」
その時はそう言われて、一瞬でもイヤな気分は霧散した。お、褒められた、とオレはおばあちゃん先生の方を見た。おばあちゃん先生も、うんうん、と嬉しそうに頷いていた。
でもね。とすごい先生は続けた。
「あなたがプロになるためには、致命的な欠点があるわ」
中学生までのおよそ10年間ピアノを弾いてきて、そんな言い方をされたことはなかったから驚いたな。別にオレはその時にはプロを目指すかどうかは漠然とした意識の外にあったんだけれど。
「どんなところですか?」
そりゃ知りたいよね。
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