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あの人との出会い
そんなある時。郊外のフレンチレストランのオープニングパーティで演奏してくれないか、と依頼が入った。もちろんオレは二つ返事で引き受けることにした。
曲の指定はない。レストランのオープニングパーティだから、華やかな曲を好きに弾いていればいいんだよ、と言われて、それは楽でいいや、と思った。
レストランのホールには、ピカピカに磨かれたグランドピアノが置いてあった。
おお、これは豪勢な。ベーゼンドルファーだ。どうみても1千万円は下らないよ。
これから専属のピアニストでも置くのかな。とも思ったが、それならばオレなんかに声はかけないだろう。と思い直した。
何かのコネでピアノを置いたけれど演奏者がいないまま置かれているピアノなのかな。それはとても惜しいことだ。
しかし豪華な内装だなあ。結構金がかかっていると思ったら、一緒に行った音響技師が「ここの社長、アレだよ」と、人差し指を頬に当ててスッと動かすポーズをした。
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