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「まあ・・・・」
生まれたばかりの我が子を見て、思わず眉をひそめてしまった。感動的な日になるはずだったのに、こんな子がわたしの子だなんて。
この子に会える日を指折り数えて待っていた。あんなにりりしいあの人とわたしの子なのよ。なんでこんなことになってしまったのかしら。こんなに醜い子が生まれるなんて考えたこともなかった。
あの人と出会ったのは、二年前の夏。ひと目見た時からわたしはあの人のとりこになった。他の皆より背が高くて、遠くからでも大勢の中のあの人を見分けられる。ちょっと乱暴者と言われるけどわたしはそんなあの人が大好き。
二人だけで遠出をしたドキドキの初めての夜。そして分けあって食べたブレックファーストの味は忘れられない記憶。それからはわたしたちのことを誰もが認めてくれるようになった。
なにもかも順調にいっていたあの人とわたしの結婚生活。待望の赤ちゃんを心待ちにしていたというのに・・・・。こんなに醜い子が生まれるなんて・・・・。
こんなことを思うわたしは、きっと母親失格なのかもしれない。でも、でも、想像していたわたしたちの子供とはかけ離れた顔、姿をしていた。
嫌だ、どうしよう。 母親はみんな自分の子を愛さなきゃいけないの? きっと妹弟からもいじめられる。ご近所さん達からも噂の種にされるのに決まってるわ。わたしがこの子を連れて近づくとみんながおしゃべりをやめてしまう状況を想像しちゃう。
それに、そうよ。どうしよう・・・・・・。
あの人がわたしを疑ったらって考えていた。浮気したのかって、一体誰の子だって言われたら泣いちゃいそう。全然、俺に似ていないって言われたら返す言葉もない。
わたしはしばらくその子を見つめて思案していた。
わたしってなんて薄情な母親なのかしら。子供って親を選んで生まれてくるって聞いたことがあるわ。
愛さなきゃ、そう、母親だったら、たとえどんな姿の子供でも絶対にかわいいって思えるはず。
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