すみませんから始まる謙虚な日本人の召喚です

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すみませんから始まる謙虚な日本人の召喚です

隣で死んでる騎士に転生した元聖女は…て、私のことですね。 うん、いっぱい考えたよ。 どうしてこうなった?!なんて、何度も心の中で叫んでは現状を把握しようと努めましたよ。 結果、やっぱ騎士として生きてくしかないわけで。 正確には聖騎士らしいですね。 聖女のお供をしたツヴァイア様はランクアップしてましたよ。 騎士の中でも最高位が聖騎士。騎士として精進を重ねると到達できる武官の最高栄誉称号です。 ということは、この男、実は戦闘でも高スペックだったというわけで。 鏡に映る裸のツヴァイア裸体のムキムキ筋肉を観察。逆三角形の割れ腹筋。二の腕ふっとい。太腿もふっとい。しかも硬い。カッチカチやで。 前世で観賞したことあるボディなビルダーさん写真集を思い出す。 あの筋肉はプロテインで盛ってたけど、この筋肉は違うね。引き締まってて実践的な筋肉だ。 …どうしてそんな写真集を見たかって? リビングに放ってあった写真集をたまたま開いただけです。 兄が青春時代に筋トレにハマってましたからね。 まあ、それに載ってた魅せる筋肉美とは異なる質だけどええ筋肉がツヴァイア様に付属してるわけです。 騎士として、きちんと鍛えた魅惑ボディだったわけです。 魅惑ボディは見てくれだけでなく、聖騎士隊の訓練時でも役立ちました。 手合わせした新米騎士たちの攻撃はことごとく弾き、かすり傷すら負いません。 この筋肉は鉄製なのか…!? そして、ちょっと腕を振れば人をぶっ飛ばし、扉を蝶番ごと破壊し、壁をへこませ、床にも穴を開けました。 なんつー怪力だ…。 こんな人類外なウホウホパワーを秘めておきながら、魔獣退治の道中ではなぜ逃げまくっていたのか──そこが疑問です。 よく考えれば、聖女のお供に選ばれたくらいです。元よりツヴァイア様は強い人だったのでしょう。なのに聖女の前ではチキン騎士。訳分かりません。 土台、十代の乙女だった私に、あの時の大人の男性の心情を理解しろという方が無理です。 このことは亡きチキン騎士様の供養のためにも、胸へと秘めておきましょ。 とりあえず『聖騎士実動部隊』の副部隊長として無難に毎日を過ごしていました或る日のこと、また王様が不穏なことをしでかしましたよ。 「あの………すみません。ここ、どこですか?」 すみませんから始まる謙虚な日本人の召喚です。 また、やったのです。 また、やらかしやがったのです。 異世界人召喚の儀式とやらを! ヘタレアホアホアホ王様めえええええええええええ 私は怒りの余り、傍におわす王様の顔面をバチコーーンしました。張り手です。ちゃんと手加減はしました。 それでも王様は「ぶへーーえええ」とか汚い悲鳴上げながらぶっ飛んで壁に激突。沈黙。 王様が被ってた冠もぶっ飛んで石床に落ち、カランカランと渇いた音を立てたのを最後に、召喚の間も、しーんとしてしまいました。 誰もが沈黙する中、私は召喚された憐れな子羊に手を伸ばします。 「相馬(そうま) 篤史(あつし) 殿、大変申し訳無いことをしました。貴殿の衣食住は私が保証いたします。…私に、ついてきてくれませんか?」 こうなったら仕方無いのです。神子として召喚されてしまった彼の面倒は、同郷たる私が見なければなりません。他の奴になんか任せてなどおけぬのです。私が召喚された時なんか、女官を何人かつけられただけで、旅に出るまで軟禁状態だったんですからね。 こいつらに人権なんて言葉は通じないのです。 じゃなければ、端からこんな非人道的な異世界人召喚なんかするはずがありません。 「…あ、はい。宜しくお願いします」 素直に応じて私の手を取ってくれる篤史さん。いい人です。 神子として召喚された理由も分かるってもんです。この人の傍にいると癒されますもん。ほわわ~ん。 私は浮足立って篤史さんの手を握り、儀式の間を出て我が家までお連れしました。 褒賞で貰った広いお屋敷に、住人が一人増えて、とても嬉しいです。 一応の使用人は何人か同居してますけど、彼らは私の前へは滅多に現れないので、毎日顔を合わせることができる篤史さんは、なんだか新鮮な存在です。会う度にフレッシュな気分になります。 …なんでしょうねこれ。この気持ち。恋とは違う気がしますが、でもこれ、着実に育ってきてる気がします。 たとえば朝、朝食室で「おはようございます。今日も美味しそうですよ」と挨拶してくれる篤史さんが、陽光の中で微笑んでいる時。 たとえば昼、「はい、じっと我慢ですよ」と医師としての顔した篤史さんが、部下たちの怪我の手当てをしている時。 たとえば夜、「いい食材が手に入ったんですよ」と料理が趣味だという篤史さんが、懐かしい日本食を振舞ってくれる時。 篤史さん、篤史さん、篤史さん…。 焼けるように胸を焦がす思慕の念は、募るばかりです。 この人を守ってあげなくては…!と、最初に出会った時に決心してますが、この想いは益々に膨らむばかりで、私の乙女部分は日毎夜毎にキュンキュンしております。 こりゃあ、やっぱり恋ですかね。 最初は保護者気分だったとしても、今やもう立派な視線ストーカーですよ。 篤史さん見つけたら、じっと目で追いつつ、あの清潔そうな白い衣服を乱して肌に吸いつきたいと欲情します。 そういう妄想ばかりしていたら、思ってるだけで幸せなんて謙虚さは肉欲の前でとうとう消え失せました。 乙女の心がドッキンコすると漢の肉体が反応するようになったのです。 どういうことかというと、股間の棒が、おっはーするのです。 んぎゃあああいやああああナニこれナニだけどナニこんな膨張してんの?! なにも膨張を見るのが初めてというわけではないです。 初めて朝勃ちであり夜勃ちであり夜間陰茎勃起現象とかいう生理現象に見舞われたときは、「あー男の体だもんね、しょうがないですな」と冷静に判断。これは性欲とは関係ないものだと知っていたので放っておきました。そしたら勝手に治まったので大して気にもしてなかったのです。 でもでも!今は違うよ! はっきり性欲を感じ、篤史さんを妄想で穢した所為で勃起しました。ごめんなさい篤史さん。貴殿の整った小顔が悦楽に歪み白い汚濁まみれになる姿を想像しました。心が萌えに悶えました。ありがとうございます。神子な篤史さんが尊い。皆を癒す白衣の天使を、私は妄想で犯して興奮してます。 …やばいです。治まりません。 勃起を隠そうと両手を股間に添え、前屈みになってオロオロしてます。 だってこれ、どうしたらいいの? ぬぬぬ抜くの? どうやって? 「ツヴァイアさん、お返事がないので気になって…どうかしましたか?」 「────ひいっ!!」 異常にテンパってる私の姿を、篤史さんに発見されました。 私ピンチ!こんな間抜けな姿見られたくありませんでした。穴があったら入りたいです。どこかに穴!穴はありませんか?! 穴がどこにもないので絶望して座り込む私。 風呂上がりだったのでバスローブ姿の薄着なんですが、幸いここは私室なので床に絨毯があって尻ぺたんしても冷えることはないです。 だけどそれがなんだって話でして…。 大の男が涙目で股間押さえながら尻ぺたんしてても、なーんも可愛くないという話でして…。 「あ、篤史さん、見ないでください…」 それだけ言うのが精一杯です。 全身が羞恥に染まり下を向く。 だからこんな姿をさらしても可愛くもなんともないってば私…。 篤史さんが私室の扉を完全に閉めてから、こちらへ近づく気配がする。すぐ傍まで来る。 いやあああこないでおくれえええ空気読んでえええ状況察してえええ日本人ならそれができるはずです!お願い!見て見ぬふりで立ち去ってください! と、心の中では叫んでいるけど、実際の私の生体反応は篤史さんが近づくにつれて心臓がドキドキしちゃって、尚も張り詰める股間と戦うのみだった。 この節操なしおチンコくんめ! つい、ぎゅっと思いっきり握ってしまう。 「いだっ!」 当然、痛むわけで。ツヴァイアパワーですからね。加減しても林檎を片手でブシャーできますからね。 そんな握力で握ったから痛みで萎えるかとも考えたのに、股間の息子君は元気溌剌のままです。元気なのはいいことだよ、うん!でも今は萎えてほしかったああああ 「痛むんですか? 診せてください」 しまったああ医者である彼ですもの、当然こういう反応になりますよね?! 自業自得。チンコ勃てたのも妄想の所為だしね。 私は観念して手を放し、振り返りました。 尻ペタン涙目のまま。
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