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 お母さんは視線を珠ちゃんに向けて言った。珠ちゃんは真剣な表情で頷く。確かに今私たちにできることは珠ちゃんを哀れむことじゃなく、お殿さまの生まれ変わりを一緒に探して会わせてあげることだ。 「珠ちゃん! 頑張ろうね!」  急にやる気が出てきた私は珠ちゃんの手を握った。珠ちゃんはびっくりしたように目を見開いたが、すぐに笑みを浮かべて頷いた。握った手に力がこもる。 「ありがとう。誰かと一緒に殿の魂を探すのは、こんなにも頼もしいものなんだな」  その嬉しそうな表情にはっとした。珠ちゃんはずっと一人で旅をしてきたと言っていた。けれど珠ちゃんだって最初から一人だったわけじゃない。親がいて、お付きの人がいて、殿がいて。人より長く生きてきた珠ちゃんは、身近な人との別れをたくさん体験してきただろう。その悲しさは私には想像もつかない。  知ってる人のいない世界で珠ちゃんはただ一人、殿さまの魂だけを求めて。……ああ、そうか。だから珠ちゃんは、殿さまじゃないと駄目なのかもしれない。それは唐突にすとんと私の中に落ちてきた、納得できる答えだった。
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