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俺は普通の野球少年。ポジションはピッチャー 野球を始めて早5年。きっかけは野球部に入ってくれと頼み込まれたからだ。入るだけならと思い、了承したが人がいないと言う理由でレギュラー入りしてしまった。 目立つのは好きじゃないと外野希望だった俺に、その当時のキャッチャー宮市翔がピッチャーのセンスあると押され気味に言ってきたので安易に引き受けたのだ。 思えば、あの時の褒め言葉はメンバー集めに必要な受け売りだったのだろう。 事の発端はある1人の男子生徒が野球部に入部してきた頃に遡る。俺の学校は中高一貫であり、ほぼ大抵の同級生は顔馴染。その中で見かけない顔があるとすれば転入生か新入生のどちらしかない。その入部してきた男は転入生の方だった。転入生、名取達矢。 その男は精悍な顔立ちをしており、コミュニケーション力も高いのか周りにはいつも人が絶えない。所謂クラスの人気者だ。 そんな男がだ。 なぜかうちの弱小野球部に入部してきたのだ。俺達の野球部はいつも地区予選一回戦負け常連校なのに。 ここぞとばかりに名取と仲良くなりたい女達はやれマネージャーをやりたいなどその男見たさにごまんと女共が見に寄ってくる。 どこにでもあるグラウンドが何時の間にか場違いなライブ会場の様になっている。 黄色い声で達矢君~!と応援の声が耳障りだ。名取が来る前までは監督のおじいちゃん先生しか応援しなかったのに。 「、、」 「立夏、一緒にピッチングしよっか」 俺に親しく話しかけてきたのが約5年間バッテリーを組んでいる男。 俺を無理矢理、野球部に入れた張本人である。 翔は、部員の中でも特に野球馬鹿と呼ばれる程こよなく野球に情熱を注いでいる。 話していく内に、その熱心な思いに俺も感化され、次第に野球が好きになっていった。
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