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今日はとても眠い日だったため、早く寮に帰ろうと思い、いつもと違う道、言わば近道を通っていた。 宿題はやらないでさっさと寝ようと決めたとき 前方に人の姿が見える。 「ここ、滅多に人通らないんだけどな」 珍しいと思いながら前に進む。 そして人の形が立体化され、仲の良い翔だと気づき、話しかけようとした時だった。 「なぁ、俺さ お前とバッテリー組み直そうと思ってるんだけど、どう?」 そのセリフにドキリとし、思わず建物の影に隠れる。 今、翔は何て言った? 恐る恐る物陰に身を潜めながら二人の様子を伺う。 俺の間違えじゃなければ、転入生にバッテリー組もうと誘っていた。じゃあ、俺はどうなるんだ。5年も組んでたのにあっさり変えられるのか? 「、誘いは嬉しいけど今、バッテリー組んでる立夏君に申し訳ないよ」 ...転入生、俺の名前覚えてくれてたんだ。 身にしみる思いで動転している俺は有り難い気持ちでいた 「いや、でもあいつやる気ないからさ! 俺達5年ぐらいバッテリー組んでるけど上達しないし、てか正直下手なんだわ。野球向いてないよ」 自分の嫌な所を10個言われた気分になった。俺だって、下手なりに皆に迷惑かけまいと少なからず練習はしていたつもりだ。それをこうまでばっさりと否定されるなんて、 ...一応、5年もバッテリー組んでたのにな。 涙が下瞼に然るのを感じ、制服の裾で拭った。 背筋を伸ばし、翔に歩み寄る。 「、、! 立夏、 今の聞いてたのか?」 何も言わない俺に決まりが悪い顔をする翔 そんな顔をしないで。俺が言いたいのはただ一つ 「翔。5年間、 バッテリー組んでくれてありがとな。 俺、お前と野球する時すっごく楽しかったよ」 いつか翔と見た野球の映画でピッチャーの下手くそな笑顔を思い出した。目元は今にも泣き出しそうなのに、口元は無理矢理引っ張った酷い笑顔。映画に出演していたピッチャーの気持ちが分かるような気がした。
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