11人が本棚に入れています
本棚に追加
それはそうと、授業が始まったにもかかわらず全く勉強に身が入らない一方、考え付くのは飴玉を入れられた時、指先がちょんと触れられた唇_____
きっと俺が対抗したから優しく接してくれてるのかな。謎のドキドキを感じ、腑抜けいると五月蝿い声が俺の名前を呼んでいるのに気づき慌ててそちらに顔を向ける。
「ぃ!、
おいリツカ!聞いてたか?
マラソン大会、来週に延びたってよ
マヂでラッキーだわ」
「、へ?」
不意に話しかけられ驚き、返事に困ってしまう。その上ぼんやりしていて話を聞いてなかった為、会話に追いつけないでいた。
加藤以外のクラスメイトに話しかけられるのは久々なので、緊張しながらも自分から声をかけようとしたが相手はもう俺に興味が失せたのか違う奴と親しげに話していた
折角、話しかけてくれたのに勿体無いことしたなと落ち込んでいるとびっくりするくらい大きな声で自分を呼ぶ声が聞こえ、発信源の方に目を向ける。案の定加藤だった
あんな事があって動揺しない訳がない。生憎俺は小心者ゆえ心では無視してごめんと謝りつつ目線を逸らし聞こえない振りをする
、、、ぅ"う
周りの視線を感じ、クラス一同が俺に集中している。居心地の悪さに耐えきれず、逃げ出すように教室を出た。途中、誰かとぶつかったが余裕がなかった為、すみませんと小さく謝り走り去った
取り敢えず頭を冷やそうと考え、落ち着く場所を探す。時計に目を向け、授業が始まるまで大いに時間があったので校舎から離れにあるひとけのない所まで足を運ぶ。
目的地まで辿りつき足を止める。座れる所はとあたりを見渡し、大きな桜の木の下に丁度一人座れるぐらいのベンチを見つけた。ここに訪れる人は居ないのかベンチに桜の花びらがたくさんついていた。ポケットの中にハンカチの存在を思い出し、花びらたちを拭き取る。ある程度拭けたのでベンチに腰を掛ける
「ふぅ、」
気の抜けた様な声を出しながら真上にある満開の桜を眺める。
風が吹くたび桜の嵐とまではいかないが花びらが舞っていた。都会じゃあまり見ない光景に思わず魅入っていた。
どれぐらい見ていたが分からないが遠くから鐘の音が聞こえ、ハッとする。
「っあ!授業、」
腕時計で時間を確認し、授業が始まるまで十分に足りていたので他の学校からかと分かり安心する
「しっかし、いい穴場見つけちゃったよ」
また来ようと思い、残り時間も10分だった為
学校に戻ろうとした時、
「あれ?もう行っちゃうの?」
耳元で囁かれるのを感じ、思わず声の方向へと向ける。しかし、視線の先には誰もいなくあるのは満開の桜の木。
不思議に思いつつ、「誰なの?」と声をかける。返事が返ってくるのを待ってるが一向に声がしない。怖くなった俺は急いで学校に帰ろうと思い、
え?
死角から手が伸びてきて俺の顔を包み込むように優しくそれは微笑んだ。
視界いっぱいに飛び込んできた金髪碧眼。
かつてない程の綺麗な顔にドキマギしてしまう。
これほどまでの端正な顔立ちを見た俺は口を半開きにして見惚れていた
「ふ、立夏は可愛いね」
、え?名前
俺の名前知ってるの?
疑問に思ったが、動揺して声が出なかった
その人はもう、行かなきゃと桜の花びらと共に去っていった。
一瞬の出来事に俺は幻でも見ているのかと不思議に思い、自分の頬を抓ってみる
「、いひゃい」
この痛さは現実だ
従って、幻でも夢を見ていたわけでもない。
よかったとほっと安堵の胸をなでおろす
昔からこういう不思議な出来事や、怪奇現象が苦手な俺。多分、好きなやつは相当変わってると思う。
最初のコメントを投稿しよう!