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「……とりあえず、少し足下げてよ。狭いから」
「ねー。ミズキもそう思うよねー」
ボクの苦情を全く意に介さず、剰え同意を求めてくる。
いつもの調子だ。
夏の暑いときでも、今日みたいに寒くなりつつある日であっても、それは大して変わりない。
高校入学から半年以上が経ち、同じ吹奏楽部に入っていて、しかも同じクラスだ。この娘の性格は概ね熟知して来つつあると思っている。
――有り体に言って、遠慮は無い。
「ねー」
「……もうじき定期考査だけど?」
「えー? ツレナイなー……。まだ1ヶ月くらいあるじゃーん」
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