1-1. あめふるはこにわ

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「……とりあえず、少し足下げてよ。狭いから」 「ねー。ミズキもそう思うよねー」  ボクの苦情を全く意に介さず、剰え同意を求めてくる。  いつもの調子だ。  夏の暑いときでも、今日みたいに寒くなりつつある日であっても、それは大して変わりない。  高校入学から半年以上が経ち、同じ吹奏楽部に入っていて、しかも同じクラスだ。この()の性格は概ね熟知して来つつあると思っている。  ――有り体に言って、遠慮は無い。 「ねー」 「……もうじき定期考査だけど?」 「えー? ツレナイなー……。まだ1ヶ月くらいあるじゃーん」
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