第一話

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……って! 私は跳ね起きた。 違うじゃん! 学校あるじゃん! しかも八時!? 二度寝してる場合じゃないよ! 早く行かないと……。 学校って確か、朝の会が八時十分からだっけ? 私の家から学校までは、だいたい十五分から二十分。 終った。 いや待て、策はつきてないぞ! 走っていけば……。 ああ、でも着替えたり顔を洗ったり……。 ご飯を食べるのは我慢できるけど、昨日は深夜まで人気アイドルのCDを聞いてユーチューブも見てたよね? ご飯すら食べてなかったような記憶がある。 授業中にお腹が鳴ったりしたら笑いものだよ! うう~、夜食くらい食べておくんだった。 髪をとかすのは……確か、先生に内緒で小型の櫛をペンケースに入れてある。 ゴムも手につけていけるし、走りながらとめられるよね? できなかったにしても学校についてからやれば問題ないはず。 いや、ちょっと待て! ユーチューブ見るのに夢中でいつの間にか寝ちゃったから、今日の用意してないかも!? カバンの中を確認すると、昨日の時間割の教科書+ノートがしっかり入ってた。 ……最悪。 今から用意してたら間に合わないじゃん! う~、しかたない。 ここは開き直って、思いっきり遅刻してやろうじゃないか! 言い訳は……具合が悪くて遅刻しちゃいました、でOKだよね? よし、そうすれば髪もゆっくりとかせるし今日の準備もできるぞ。 そもそも、目覚まし時計が鳴らなかったのが悪い。 昨日セットしておいたのに……。 あれ? 時間を設定してた覚えはあるけど、電源オンにしてたっけ? 目覚まし時計を見ると、電源のスイッチがオフのほうにかたむいていた。 これじゃあいくらセットしても鳴らないわけだ。 いや、いくらなんでもお母さんが起こしてくれるでしょ!? ん、あれ? 昨日家出るとき、お母さんがすごく大事なことを言っていたような……。 記憶を昨日朝まで巻き戻し。 ピピー、ザザザ……。 雑音に交じって、お母さんの声が。 __今日は残業になりそうだから向こうに泊まるね。明日の夜まで帰れないわ。 ……私のバカ。 何で今になって思い出すの!? せめて昨日のうちに思い出してよ!
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