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この日から、やたらこの後輩から絡まれるようになった。 「あれ。先輩、奇遇っスね」 「……あ?」 クラスの奴らといる時は一切近付いてこないくせに、少しでも一人でいればこうだ。 今も気配なく気付いたら、すぐ後ろで肩越しに俺を見下ろしている。 コイツ、俺よりほんの少し背が高くて。 だから見下ろされると結構癪に障るんだよな。 「奇遇ゥ?」 知ってんだからな。 お前が十分以上前からこっちを見てたのを。 「そ、奇遇。オレが先輩とこんな風にお喋りするのもね」 「お、おい」 ぴたり、と背中にくっついた大輔の腹。そして肩に僅かな重み。 後ろからぴったりと張り付いて肩に顎乗せてやがる。 「なーに見てんスか?」 なんて気だるげに訊ねるもんだから、こちとらキャパオーバーで動けなくなる。 だってよぉ。耳にすごくかかってんだぜ……その、息が。
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