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「ちょっ、離れろ、よッ……近いだろ、色々」
「嫌っスね。絶対イヤ」
なんかコイツ変だ。キャラ変わった?
もっとこう飄々としてるけど、引くとこは引いてる奴だっただろ。
むしろ俺がちょっかいかけて、コイツが嫌がって。
それなのに今は……。
「ふぅん、無視?」
少し低くなった声。機嫌を損ねたらしい。
「聞かせて下さいよ。睦美さん、でしたっけ? のこと」
「こ、この前も聞かせただろッ!」
そう。コイツはやたらと彼女のことを聞いてくる。
そして色々質問してくるんだ。
どんな事話したか、とか。
どんなデートしたか、とか。
キスはしたか、とか……。
「ね、昨日はデートだったんでしょう? 聞かせて下さいよ、先輩」
「……大輔ッ、なんで知ってんだ、それ」
突然予定が空いたとかで、前日の夜に突然決まったのに。
(コイツ、まさか……)
瞬間的に、嫌な想像をした。
妄想に近いそれは、俺の顔色を失わせるには充分で。
(睦美さんのこと、知ってんじゃあねぇよな?)
(それなら言うはずだ。何か言えない事情が……)
「嗚呼、カマかけただけですよ。……あれ先輩が優れませんね。保健室でも、行きます?」
「い、行くかッ!!」
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