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入れてもらった麦茶のグラスが汗をかき、テーブルに水滴の輪っかをつくる。 それを少し指で擦りながら、俺は再び訊ねた。 「その高校生、うちの学校?」 「ん、そうね。制服は同じだったわ」 睦美さんはエアコンのリモコンを見ながら答える。 「それからその高校生に会ったことは?」 「……あるわ。何度か」 ピッ、ピッ、と鳴るエアコンの方を見上げている。 伸びた細く長い首と、リモコンを操る指はとても白くしなやかだ。 「あるの? どこで?」 「色々よ……駅だったり、近くのバス停だったり。この近くの公園でも会ったわ」 (なんてこった……) ますますストーカーの線が濃くなってきたじゃねぇか。 俺はついに堪らなくなった。 グラスをグイッと煽って飲み干し、そっとテーブルに置く。 「その高校生の名前って……」 「……ちょっと待ってよ。ストップ」 「え」 睦美さんは小さくため息をついて腕を組み、俺の目をじっと見つめてきた。 「この尋問、いつまで続ける気?」 「じ、尋問って……」 (別にそういうつもりじゃなかったんだけど) もしかして威圧的な物言いをしていたのだろうか。 確かに、言わばストーカーの被害者である彼女に対してアレコレ矢継ぎ早に質問するのは無神経だったかもしれねぇな。
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