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純白のシーツの上を体重移動する音が、妙に大きく聞こえる。 右肩を押されゆっくりと倒されていく。さらに背中に回された手に支えるように沿わされる。 下から上に撫でられる感覚は、まるで羽で触れられたように柔らかで軽やかだった。 「んンッ……」 首筋にリップ音と共に小さく湿った感覚が落ちた。 口付けされたと知ったのは、思わず声を上げたと同時だった。 女みたいな声をあげそうになって、必死で押し殺すが上から息だけで笑い声が聞こえた。 「可愛い……ごめんね?」 「え? あっ!」 カチリ、と無機質な音が響いて慌てて目を開ける。 しかしもう遅かった。 「な、なにをッ……」 全く気が付かなかった。 両手は上に、しかも手錠で繋がれている。 「はいはい、文句なら後で聞きますからねぇ」 悪戯っ子のような笑みを浮かべて、睦美さんは俺の身体に体重をかけ馬乗りになった。 「おっ、おも……!」 (重いッ!!) 女の子ってそんなに重たいのか……別に俺だって女の子は羽のように軽いとか、過度な憧れとかはないよ!? でもなんだろ、その重量感がすごい。 あと確かにエスコートされる感じになってたけどさ! それにしても手錠っていうのはハード過ぎっていうか……。 「あ、あのぉ、睦美さん?」 「ん」 足にまで錠をかけている。金属の冷たく硬い感触が、妙に危機感を掻き立ててくるのが気味悪い。 「俺、そういうのはちょっと、もう少し普通にしません?」 っていうか、これじゃあ俺何も出来ないし。 マウント取りながら服のボタンに手をかける彼女を手錠で繋がれた両手で押し返そうと力を入れる。 「……チッ」 (え?) 露骨な舌打ちが聞こえ、顔を見上げるとその表情は不敵に歪んでいた。 「何もしなくていいよ……先輩」 低い、とても低い聞き覚えのある声が俺の耳に入った。
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