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―――つまりこういうことか。 睦美さんは大輔の女装した姿だった。 俺はコイツに恋してたってことか……そりゃ見覚えのある本があったり、知ってるわけだよな。本人だもん。 「俺を、騙したのかよ」 「うん。まぁそうなりますね……ちなみに反省も後悔もしてないっスよ」 「嘘つけ」 じゃあなんでこんなにコイツ、泣きそう顔してんだよ。 必死で堪えて、変な泣き笑いみたいな顔になってんぞ。 「……はァ?」 ほらいつもこうだ。 コイツは泣きたい時に泣かないで、こんな変な顔して我慢するんだ。 「最初に言っただろ、泣けって」 思わず言葉として口から零れていた。 そして言ってしまって瞬間『しまった』と。 だって。泣きそうだったコイツの顔がさら歪んで、目尻から一筋の雫が頬を沿ったから。 そのまま、ぽたりと俺の胸を濡らす。 「……うん」 そう言って大輔は崩れる。 ベッドが小さく軋みを上げた。
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