15人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっぱり恋人欲しいなぁ」
「……」
なかなかグサッとくるワード。
恋人欲しい。か……恋人、恋人? ん?
「先輩? あ、あの、どんなタイプが好みで?」
無様な程に声が震える。余計な期待してしまう自分がムカつく。期待と不安が心臓をいたぶっていく。
あとなんか汗が、特に手汗がひどい。人って緊張するとこんなに汗かくのか。
「そうだなァ」
彼がオレから視線を外しあらぬ方向を向く。
その表情は分からない。
「毒舌で、性格歪んで病み気味で、顔は悪くないクセに地味で毒舌で、馬鹿で泣き虫で俺より少し背が高い……生意気な後輩、かな」
一息で言い切り、突然走りだした。
「せ、先輩ッ!? そ、それって……」
「うるせぇぇぇッ! 遅刻するぞ!!」
怒鳴り散らしながらも驚異の速さで走る彼を、オレは必死で追いかける。
(耳が凄い赤い! 可愛い!!)
―――そんな事を考えながら。
最初のコメントを投稿しよう!