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「やっぱり恋人欲しいなぁ」 「……」 なかなかグサッとくるワード。 恋人欲しい。か……恋人、恋人? ん? 「先輩? あ、あの、どんなタイプが好みで?」 無様な程に声が震える。余計な期待してしまう自分がムカつく。期待と不安が心臓をいたぶっていく。 あとなんか汗が、特に手汗がひどい。人って緊張するとこんなに汗かくのか。 「そうだなァ」 彼がオレから視線を外しあらぬ方向を向く。 その表情は分からない。 「毒舌で、性格歪んで病み気味で、顔は悪くないクセに地味で毒舌で、馬鹿で泣き虫で俺より少し背が高い……生意気な後輩、かな」 一息で言い切り、突然走りだした。 「せ、先輩ッ!? そ、それって……」 「うるせぇぇぇッ! 遅刻するぞ!!」 怒鳴り散らしながらも驚異の速さで走る彼を、オレは必死で追いかける。 (耳が凄い赤い! 可愛い!!) ―――そんな事を考えながら。
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