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嘆
8月半ばに大型台風が来てから、どんどん暑さが大人しくなった。
終いにはそろそろ秋の風すら吹いてくる……そんな夏休み最終日。
「あああ、カノジョ欲しいぃ」
俺、茶九 彰(さきゅう あきら)はそう言って、やり掛けの課題を広げたままシャーペンを放り出した。
「……はぁ? 何言ってんスか」
そう言って呆れたように顔を上げたのは後輩。
鳥海 大輔(とりうみ だいすけ)だ。
俺達は高校生。そう。青春真っ盛りと言われる高校三年生の夏休み! ……なのに。
「ぜんっぜんカノジョ出来なかったぁぁ」
「あー、はいはい」
項垂れた俺を大輔は、可哀想なモノを見る目で見てきやがる。
余裕綽々って顔してるけど、コイツだってカノジョ居ないし俺と同じく童貞だろうが! ……多分だけど。
今日だって夏休みだっていうのに、最終日ってことでやりきれなかった課題に追われている。
自室のクーラーがぶっ壊れて死にかけてたら、後輩からの『うちですれば良いじゃないですか』という言葉に有難く従ったわけだ。
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