ある再会 ~月明かりの下で起きた奇跡~

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 翌日の日曜日は特に予定が無かったこともあり、『満月荘』というものに興味があった公一は、行ってみることにした。  所在地の近くの、私鉄『月波駅』までは、すんなり行けたのだが、そこから何故か道に迷ってしまい……  ようやくたどり着いた時、時刻は1時間を経過していた。  住宅街から離れ、高い塀に囲まれた、怪談ドラマに出てきそうなアパートで、ほのかな不気味さがあった。  門の看板はそうとう古く、文字の判読に苦労するほどだった。  アパート外観の壁は黒っぽく、あまり見たことのない緑色の植物のツルが、その全体に行き渡っている感じで……  月の情景に例えるなら、新月に雲がかかっている……とでも言えそうだった。  そして、人の気配は皆無だった。  公一が迷いながら、薄暗い玄関に一歩、足を入れると、後ろから、 「おやおや」  公一が「えっ?」と振り向くと、服装は違ったがあの時の初老の男だった。  その男は怪訝そうに、 「あの……名刺に書いてあったはずですがね……。水曜日にと……」 「えー、それは分かってたんですが……どうしても一度見ておきたくなりまして……」 「なるほど……。下見ですか……。しかし、かなり迷われたでしょう?」  と男は笑った。 「えー、かなり……。だから下見に来て正解だったな……と思いました」  公一は苦笑した。  すると、男は半ば真顔になって、 「いえいえ。ここは奇妙なアパートでしてね。夜にこられた方が迷わなかったんですよ」 「えっ? へー……そうなんですか……」  公一は一瞬、もう帰ろうか……と思ったが、少しは興味があったので、中も見ることにした。  無論、男が先頭に立った。 「では、ご案内しましょう。……とは言っても、普通の中古アパートですがね……」  と男は、また笑ってから歩を進めた。
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