自信のつく薬は男に飲ませるな

2/6
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
数日後。 「やったわよれい子。中間すごくがんばれて、特に世界史、こんなに点取ったの初めてよ」 「よかったわね、サチ。やっぱ自信を付けるのは大事ね」 「それより、あれ。とも子、男子を抱えてきてる」 マユが指さしたほうを、れい子とサチが見る。 「ああ本当だ。みのる君をお姫様だっこしてる。いやこの場合は王子様だっこって言わないかしら、ねえ、れい子」 「私だって知らないわよ」 3人に見られて、みのるは恥ずかしげに言う。 「おい降ろせよ。廊下ですべっただけだよ」 「いやけがしてないかちゃんと見てあげる」 とも子はみのるを椅子に座らせ、そして体のあちこちを見てみた。 「うん大丈夫のようね」 「だから大げさなんだって」 「それよりテストはどうだったの」 「ああ赤点なしだった」 「まあそりゃよかったわね。というか、あんたはがんばればうまくできるんだからしっかりしなさいよ」 「あ、ああ」 この様子を3人が見ていた。 「あんた達いい夫婦になれるわよ」 「結婚式呼んでね」 サチとマユがそれぞれ冷やかし気味に言った。とも子が反論する。 「だからそういうんじゃないっての」 それに対し、サチが質問する。 「ていうか、とも子とみのる君、お互い相手のことをどう思ってるの」 「だから違うって」 とも子は叫ぶ。そのとき、ずっと黙っていたれい子が説明する。 「だけどあなた達、2人のいい関係は学校中でも持ち切りなのよ。この際はっきりしておいたほうがいいんじゃないかしら」 「学校中ってほんと?」マユがこっそりと聞く。 「うそよ」れい子が小さくささやく。 とも子が話す。 「だからあ、私とみのるは幼稚園の頃からの幼なじみで。それだけよ」 「じゃあみのる君はとも子が好きなの?」サチが聞く。 「ねえどうなの?」マユが強く催促する。 突然攻められた質問に対し、みのるはゆっくりと語り出す。 「いやその、こいつ、いつも、ああしろ、こうしろとうるさくていやんなるというか。おれ、そんなにできる人間じゃないし。こいつ、このクラスで5番目だから、もっといい男とくっついたらどうかなって」 「どう思う?」サチがれい子に聞く。 「うーん何とも言えないわね」 「あ、休み時間終わるから帰る」そう言ってみのるはいなくなった。 女の子達の話はこれ以降進まなかった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!