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数日後。
「やったわよれい子。中間すごくがんばれて、特に世界史、こんなに点取ったの初めてよ」
「よかったわね、サチ。やっぱ自信を付けるのは大事ね」
「それより、あれ。とも子、男子を抱えてきてる」
マユが指さしたほうを、れい子とサチが見る。
「ああ本当だ。みのる君をお姫様だっこしてる。いやこの場合は王子様だっこって言わないかしら、ねえ、れい子」
「私だって知らないわよ」
3人に見られて、みのるは恥ずかしげに言う。
「おい降ろせよ。廊下ですべっただけだよ」
「いやけがしてないかちゃんと見てあげる」
とも子はみのるを椅子に座らせ、そして体のあちこちを見てみた。
「うん大丈夫のようね」
「だから大げさなんだって」
「それよりテストはどうだったの」
「ああ赤点なしだった」
「まあそりゃよかったわね。というか、あんたはがんばればうまくできるんだからしっかりしなさいよ」
「あ、ああ」
この様子を3人が見ていた。
「あんた達いい夫婦になれるわよ」
「結婚式呼んでね」
サチとマユがそれぞれ冷やかし気味に言った。とも子が反論する。
「だからそういうんじゃないっての」
それに対し、サチが質問する。
「ていうか、とも子とみのる君、お互い相手のことをどう思ってるの」
「だから違うって」
とも子は叫ぶ。そのとき、ずっと黙っていたれい子が説明する。
「だけどあなた達、2人のいい関係は学校中でも持ち切りなのよ。この際はっきりしておいたほうがいいんじゃないかしら」
「学校中ってほんと?」マユがこっそりと聞く。
「うそよ」れい子が小さくささやく。
とも子が話す。
「だからあ、私とみのるは幼稚園の頃からの幼なじみで。それだけよ」
「じゃあみのる君はとも子が好きなの?」サチが聞く。
「ねえどうなの?」マユが強く催促する。
突然攻められた質問に対し、みのるはゆっくりと語り出す。
「いやその、こいつ、いつも、ああしろ、こうしろとうるさくていやんなるというか。おれ、そんなにできる人間じゃないし。こいつ、このクラスで5番目だから、もっといい男とくっついたらどうかなって」
「どう思う?」サチがれい子に聞く。
「うーん何とも言えないわね」
「あ、休み時間終わるから帰る」そう言ってみのるはいなくなった。
女の子達の話はこれ以降進まなかった。
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