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第五話 活動するストーカー
「これより、生徒会活動を始める!みんなよく集まってくれた。紹介しよう。今日から生徒会に新しく加入することになった、1年生の九条 大和だ。みんなよろしくしてやってくれ」
威勢の良い生徒会長の挨拶で今日の生徒会活動が始まる
「よ、よろしくお願いします。あっ、雫」
「や、大和?! 何で生徒会に? 」
どうやら雫も驚きを隠せないようだ
「伊名波。九条には私から声をかけたのだ
学校と彼自身を変えるためにな! 」
「はぁ、」
雫が驚くのも無理はないだろう。
この学校の生徒会の決め方は推薦方式である。雫も1年生ながらもその優秀さと秩序を乱さない強い心を生徒会長に認められ、クラスのみんなからも薦められた結果この生徒会にいるのだ。クラスの嫌われ者である俺がここに立っていること自体普通ではないのだ
「さて、今日の議題だが……」ーー
……どうしてこうなった。
今、俺の隣を歩いているのは紛れもない
雫なのだ。
「いや〜びっくりしたね〜。会長いきなりあんなこと言い出すんだもん」
「本当にびっくりした……」
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「今日は学校の見回りをしてもらう! 」
「見回り? なんでまた」
「みんなも気付いているだろうが、最近の学校の風紀はたいへん乱れている。そこでみんなには2人1組で学校を見回ってもらう! 拒否は認めん! 」
「マジか、」
先輩はいっつも俺の度肝を突くような発言をしてくる
「九条と伊名波は同じ学年同士だから
2人で組んでもらう、あとの者はーー」
「……マジか、」
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「あのさ! 大和! 」
「は、はい! 」
「この前話してなさたことだけど、ストーカーの九条ってあだ名。なんでそんなあだ名がついたの? 」
俺は戸惑いながらも、どうにか質問に答えようとした
「え、え〜っと、それは。中学の頃、気になる子に対して無意識にストーカーしてたんだよね。だから……」
「無意識? ストーカーって無意識になるものなの? 」
「あぅ、え〜と俺の場合はね、昔色々あって…」
俺がこんな体質になってしまった理由なんて
雫に言えるわけがない。
『嫌われるに決まってる』
「大丈夫。私は大和を嫌ったりなんかしないよ」
「え。今口にしてた?! 」
雫は笑いながら、
「バッチリね」
うわぁーーー!!!!!!ついつい本音が出てしまった。この際はっきり言うべきなのか、でも嫌われるかもー!でも雫は嫌ったりしないって言ってくれたし…
「じゃあ、あんまり引かないで聞いて」
「分かった。」
あれは、俺がまだいわゆる陽キャだった頃ーー
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