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第一話 蘇るストーカー
いつからだろう。
俺が女の人にストーカー……のうな
行動をとるようなったのは。
桜が舞う季節。高校生へと進学した俺の中で何かが変わる。この高校生活で何かが変わる。そんな気がしていた
俺は九条 大和。今日から高校1年生だ。入学式が終わり、教室へ向かう。そんな俺には、ある変わった体質がある…
「よ! 九条〜」
いきなり背中を押された。机に頭をぶつけそうになった。そしてまるでアルビノのように白い髪の毛で、モデルのようなスタイルの男子が現れた。
「なんだ、お前かよ……相変わらずテンション高いな」
「なんだとはなんだ! せっかくまた同じクラスになったってのによ! それに席は遠いし今日は入学式だけだったし、お前と話すのは放課後ぐらいしかないんだよ! 」
こいつは三加和 誠弥小学校からの同級生だ。いっつも女子と喋っているいわゆる「陽キャ」ってやつだ。
「分かったから、もうホームルーム終わったしそろそろ帰るかな」
新しいクラスになったことでざわついている教室から早く抜け出したかった
「まったく、お前はいつまでも陰キャしてんな〜。そんなんだとモテないぞ〜
ストーカーの九条くん♪」
……そう、九条 大和またの名を
「ストーカーの九条」
中学生の頃につけられたあだ名だ。
もう二度と…思い出したくもないあの頃の
ーー中学2年の秋。俺には好きな人がいた。
正確には気になっていた人だけど。
でも、俺には告白する勇気も自信もない。
そうやってウジウジしているうちに
「ストーカー」していたんだ。
何でしようと思ったのかは分からない。
登下校中にその子の後ろをついて行ったり、
目が悪いわけじゃないのに
その子のメガネ借りてかけてみたり……
とにかく、そういう気持ち悪いことを無意識にやっていたんだ。ーー
「で?! お前はどう思う? 」
「なにがだよ」
「このクラスの女子だよ! うちのクラスは学年の中でも1番女子が多いし、何より
みんな美人だ! 」
こいつは女にしか興味がないのか。女子についてはこんな風に興奮して話すのも三加和らしい
俺らが通っているここ、西湘学園はもともとお嬢様学校で、最近共学になったばっかりだ。校舎も割と綺麗で、どっちかというと女子に人気な学校だ
「こんだけ女子も多いんだ。お前が好みの女子、1人や2人いるんじゃないか?」
「そんなもんいるわけないっ……だろ……」
「ん?九条?」
放課後の夕焼け色に染まる教室で
艶やかに光る長い黒髪
マシュマロのように柔らかそうな白い肌
惹き込まれそうになるその横顔
俺は見つけてしまった、彼女を
伊名波 雫を
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