月の欠片

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彼女が亡くなって10日が過ぎた頃 遺品整理をしていると、写真立ての裏に紙が挟まっているのを見つけた。 ー大好きな蒼空へー これを読んでるということは 私はもうこの世にいないのね ずっと黙っていてごめんなさい。 先に居なくなってしまったこと どうか許して。 蒼空、優しいあなたならきっと 自分を責めて責めて 心が空っぽになっているでしょうね。 分かっていたのに 私の最後のわがままを押し付けてごめんなさい。 悲しまないでね、私が選んだ道なの。 いつか私が 死んだら月になりたいって言ったのを覚えてる? あなたは吹き出すほど馬鹿にしたけど 私は本気だったのよ。 いつでも、いつまでも あなたを優しく照らす月になりたい ほら、暗がりが苦手なあなたの為に 安心して眠れるように、ね? だから悩んだり困った時に 空を見上げて欲しいの 私はいつもあなたを優しく見守っていますー
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