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「よし、この全国天気の1分枠で終わり!頑張ろうな!」
トドDとともにスタジオの待機場所でCMの終わりを待っている。
ここまで4回の中継は何とか終えることが出来た。合間の打合わせでも、水野と揉めることもなく、順調に終わったと言って良い。
ただ、麻衣にもさすがに疲れが出てきていた。初めてで気を張っていたこともあり、そもそも朝が早いことに慣れていないのもあり、少し目眩がした。
でも、こんなことで初回を台無しにする訳にはいかない。出来れば水野にも認めて欲しい。
そんな想いで何とか持ちこたえていた。
最後の枠は、外からの中継ではなくスタジオで伝えることになっている。番組のメインキャスターともちょっとした絡みがある。
アドリブになるかもしれないのでくれぐれも焦らないように、と言われたが……
それは起こってしまった。
『はい、お天気ありがとうございます!』
最後の原稿を読み終えて、萩野キャスターが次のコーナーへと切り替えるはずだった。
しかし、初日の麻衣を気遣ってか、萩野キャスターは放送中に、麻衣にコメントを求めた。
『麻衣ちゃん、初日どうだった?』
心臓が飛び出るほど、一気に緊張が走り、頭が真っ白になった。何か言わなくては…と思えば思うほど、無言の時間が永遠に長く感じた。
何を言えば良いのか。自分はタレントではなく、お天気お姉さんとしてスタジオにいる。何か…天気に関わることを………
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