581人が本棚に入れています
本棚に追加
「……えと、東京が晴れて、本当に良かったなって思いました!」
何とか絞り出したコメントがそれだった。
『そうか!麻衣ちゃんは晴れ女かもしれないねぇ…また明日!』
萩野キャスターは満面の笑みでお天気コーナーを切り上げた。
(上手くやれた…!?)
そう思いながら待機場所に戻ると、トドDが苦笑いをしながら頭を掻いていた。
「いきなりのふり、大変だったね」
ねぎらいの言葉。失敗したわけではないのだろうか?
「はい、初日、ほんとにありがとうございました。」
「うん、それは良いんだけど…この後の反省会ではちょっと言うことあるかもな」
「えっ」
「だーいじょぶ大丈夫、初回にしては上出来だったから」
トドDの気遣うような素振りが、逆に怖くなった。
お天気室に到着すると、部屋の中心の机によりかかりながら、腕を組んだ水野が待っていた。
ねぎらいでも褒め言葉でもなく、容赦ないダメ出しが飛び出すであろうことが想像できる。でも、一体何がまずかったのか…?全然わからなかった。
自分のコメントを反芻しながら、無意識に自分の服の裾をきゅっと掴む。
最初のコメントを投稿しよう!