1.最悪の出会い?

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「ここがお天気室よ。お天気コーナーの出番以外はこの部屋で待機しながら打ち合わせするから、平日は毎朝、ここがあなたの居場所になる。仲良くやるにこしたことはないから。」 「はいっ!」  麻衣は背筋を伸ばして、一歩部屋に足を踏み入れると盛大にツインテールを揺らしてお辞儀をした。 「おはようございますっ!今日からモーニンググローリーのお天気コーナーを務める御子柴麻衣です、よろしくお願いしますっ!」  顔を上げると、その部屋は思ったよりも狭く、小学校の教室の半分より狭いくらい。そして3人の男性がいるだけだった。麻衣はほっと胸を撫でおろした。 「やぁ待ってたよ!いよいよ本番だな!」  そう言いながら近付いて来たのは、一度だけ事前に打ち合わせをすることができた、お天気コーナーのディレクター、等々力だ。トドD、と呼ばれている。  42歳で既にお腹が出始めていて、かなり貫禄がある。ただ人の良さが滲み出ていて、それが麻衣の緊張をいくぶんか緩和させた。 「紹介するよ、お天気コーナー専属のカメラマン、亀田 賢。俺と同じ制作会社、"レモンサンド"の所属だよ。カメラマンで亀田なんて、笑っちゃうだろ?カメ田、で覚えれば良いから。」  トドDは、カメカメと謎の呟きをしながら、隣にいるパーカーを着た男性の背中を押した。 「どーもぉ!さっすが、なぎさスタジオの新人ちゃんは可愛い。レモンサンドの亀田です。よろしく。」  いかにもアウトドアが好きそうな、筋肉質な男性だ。ほぼ坊主に近いくらいの短髪で金髪。健康的に日焼けしている。 「よろしくお願いします。」  麻衣は最大限に微笑みながら、カメ田と握手をした。 「亀田さんはかなりお若いんですね」  鶴野は、名刺を交換しながら呟く。 「いやぁそう言われるんすけど、もう34歳ですよ。娘2人!男手1つで育ててますわ。もー可愛くて可愛くて。」 「…それは!大変ですね。」  カメ田はカラカラと笑ったが、鶴野はお気の毒、という顔をした。 そして最後に紹介されたのが…… 「どうも、水野 竜二です。」  麻衣は驚いて目をパチパチさせた。控えめに言って、かなりのイケメン現る!  180cmはありそうな長身に、整った顔。やんちゃそうな目つきが印象的だ。髪はくせっ毛なのか少しカールした黒髪。白いTシャツに紺のカーディガンを着た姿は、ラフなのにとても似合っていた。  右手を差し出す姿は穏やかで優しいイケメン俳優、といったところだ。
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