1.最悪の出会い?

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 骨ばった大きな右手に、反射的に自分も右手を出す。 「手、ちっさ」  水野は、麻衣の手を掴んだまましげしげと見つめた。長いまつげの影が頬に落ちている。  (…綺麗な顔…どうみても素人さんじゃない…)  麻衣は焦った。モーニンググローリーの出演者の名前と顔は全員覚えたし、先ほどの楽屋回りで当然挨拶もした。漏れがあったのか、それとも自分と同じように急遽決まったのか……… 「あ、あの……出演者の方ですよね、もうスタジオに行かなきゃなんじゃ…?」  麻衣が手を伸ばしたままおずおずと声をかけると、男性3人が、え、という顔をして沈黙する。  まずい、と麻衣は手を離した。 「あの、失礼しましたっ、挨拶もしないで…」  その様子を見て、トドDとカメ田が顔を見合わせて爆笑した。水野は何故かブスっとした顔をしてこちらを睨んでいる。 「いやー!違う違う!こいつ顔良いから間違えられるかもだけどさ、この部屋の要、気象予報士!」 「えっ!?……すすすすみません……てっきり出演者の方かと……」  麻衣は顔を真っ赤にさせて謝った。それを見て、水野は皮肉にニヤリと笑った。 「…ミーハーって、顔に書いてあるな。表舞台が全てか。」 え?  聞き間違いかと思った。その顔から放たれた言葉とはとても思えなかった。この豹変ぶり。前言撤回、全然、優しくなんかない。  言われた言葉の意味を飲み込みながら、自分の顔が今度は青くなるのがわかる。が、ここで引き下がるわけにはいかない。ミーハーなんて言わせない。 「あのっ私、」  ごそごそとポシェットから四つ折りにしたA4の紙を取り出す。 「気象庁のホームページ見て自分で原稿書いてきたんです!!今日、東京は晴れるんですよねっ!?」  焦る手で紙を開き、水野に突き出した。  大学時代から使っているパソコンで書いた横書きの原稿を、水野がじっと見つめ、そして麻衣の顔を見た。 (さぁ、褒めなさいよ!見直した、って。)  積極的ですごいね、と、トドDあたりがチヤホヤしてくれるのだと思っていた。それなのに、また全員が沈黙している。  しかも今回は、さっきの沈黙とは違う、なんとも居心地の悪い空気が流れている。 「あの…何か…?」
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