12通目:ウソとホント

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「……彰くん」 「ん? どうした?」 「彰くんが推薦断ってわざわざこの学校に来た理由。好きな女の子を追いかけて来たっていうのは本当?」  彰くんの顔色がサッと変わった。 「…………なんで、」  続きの言葉は出てこなかった。  彰くんは驚きと焦りに満ちた、強張った顔で私を見ていた。  ああ、やっぱり。  こんな反応をされたら肯定したも同然だ。私は追いうちをかけるように問いかける。 「私にニセ彼女を頼んだのもその子が関係してるんでしょう?」  彰くんは何も答えない。でも、その方がこちらとしても都合がいい。  ……ごめんだなんて、そんな全てを認める言葉。彰くんの口から聞きたくないもの。 「ねぇ、彰くん」  私は彰くんを真っ直ぐに見つめる。彰くんは明らかに困惑した表情をしていた。  私、バス停でまどか先輩といる彰くんを見て、今の二人の会話を聞いて思ったの。やっぱり好きな人といる時の笑顔が一番輝いてるなって。私じゃ、あの笑顔にはさせられないんだなって。 〝彼女〟の期限はまだ数ヶ月残っている。でも、これ以上彰くんの時間を無駄にさせるわけにはいかないのだ。  不思議と心は穏やかだった。これが諦めというやつなのだろうか。  私は小さく息を吸って笑顔を作る。そして、ゆっくりと薄い唇を開いた。 「別れよっか」  これが最良の選択なのだと言い聞かせ、自分の気持ちから逃げる私は。みんなの言う通り、やっぱりずるいやつなのだろうか。
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