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健二 一昨年十月
「……俺さ、何故か担任から嫌われているみたいなんだ」
いつになく健二が切実な表情をしているものだから何かと思えば……。
私は呆れた溜息を吐きながら、
「はぁ。男なんだからしっかりしなよ、健二。それにね、高校という場所は女社会がもっと厳しくなるの。私も大変なの。中学の時もよりももっとだよ?気合い入れてかなきゃいけないの。大変さはどこも似たようなもんだし、担任に嫌われるくらい屁でもないでしょ。センセーの言うことなんか、真に受けなければいいんだよ。健二は真面目すぎるのが玉に瑕だよね」
まさかこれが健二と私の最後の会話になるなんて、私は思いもしなかった。
健二が飛び降り自殺をしたのはその翌日のことだった。
奇しくも、その日は健二の十六歳の誕生日だった。
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