苦しくなる日

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苦しくなる日

あいつと両想いになって、付き合うようになった。 その日から約束ができた。 1.毎日、一緒に登下校する。 2.隠し事はなし。 3.互いを名前で呼ぶ この三つが約束事だ。 ..........でも、俺は3つ目の「互いを名前で呼ぶ」 というのは未だに守れてない。 そろそろ名前で呼ばないと、あいつに呆れられるかな..... 「満鶴さん、ボーッとしてるけど、大丈夫?」 「え、あ、あぁ」 「何か悩みごとでもあるの?」 「ねぇよ。第一、隠し事はなし!だろ?何かあったら、ちゃんと話すよ」 「それもそうだね。んで、デート!いつするの?」 ..........そうだった。デートすることになったんだ。 俺はもう、受験生っていうのがあるからこれから、あんまり遊べなくなっちまうから。 今のうちに出かけようってなったんだった。 日付と場所に決めないとなぁ。 「行く場所によっては、やってる日とか変わると思うからさ、まずは場所決めようぜ」 「そうだね。満鶴さんは行きたいところある?」 「特にない。お前の行きたいところでいいよ」 そういえば、そろそろ面接練習時間か。 行かないとな..... 「悪い、そろそろ面接練習の時間だから後は決めておいてくれ」 「分かった。決めさせたからには文句言わないでよ?」 「それはどうかな」 少し.....というか.....めっちゃ楽しみだ。 早く日付決まって、その日にならないかな。 あいつって、どんな私服で来るんだろう。 「あっ!いたいた!かけるく~ん」 女友達か? でも、あいつって『女恐怖症』じゃなかったっけ?治ったのかな? 「ねぇねぇ!デートしよ!デート!」 ..........は?今、『デート』って言ったか? 「行かねぇよ。そもそも付き合ってないだろ。あと、しつこい」 「もう!またまた、照れちゃって~!」 「うるせぇなぁ」 あいつ、否定してるから.....彼女では無いんだよな.....? きっと、大丈夫だよな.......... でも、あれがもし、演技だったら.....俺をからかうために俺に好きって言ったことになる。 「かけるく~ん!いいでしょー?」 「はぁ.....二人きりじゃねぇならな」 「う~ん、まぁ、いいよ!」 ..........あの告白は嘘だったんだな。 やっぱり、人なんて信じるんじゃなかった。 《ピリリリリ》 「もしもし.....」 『あ、満鶴さん!デートする日なんだけどさ」 デートなんて嘘だ。俺をからかうためのエサでしかないんだろ。 そんな演技しなくてもいい.......... 「悪い.....デートはしない」 『もしかして、早めに受験で忙しくなる可能性があるの?』 「..........別に。それと、二度と俺の前に姿を見せんな。メールも電話もしてくんな」 『ちょっ!どういう意味!?』 「じゃあな」 《ピッ》 これでいいんだよな。 こうしないと、自分が傷つくだけだもんな。 傷つかずに済むはずなのに..... 嫌な思いしなくて済むはずなのに.......... なんで、こんなに胸が締め付けられるみたいに苦しいんだ.......... 《続く》
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