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振り返ることもなく、私は冷たい口調でそう言った。
見上げると、そんな自分の言葉でさえも温かく飲み込もうとするかのように、空はどこまでも澄み切っている。
ずっしりと覚悟とケジメの重みが伝わってくるトランクを右手に握りしめて、梅宮シズは住み慣れた自分の家を後にした。
頭に浮かぶのは、これまで一緒に過ごしてきた妹リルとの思い出。
「お姉ちゃん」と無邪気な笑顔を浮かべて、私の後ろを歩いていた妹の姿が痛みと共に胸に焼きつく。
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