執事の憂鬱

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「お嬢様、起きる時間ですよ」 僕の1日は彼女を起こす事から始まる。 寝覚めの悪い彼女はちょっとやそっとの事ではなかなか起きてくれない。 「起きないとキスをしますけど」 あ、これでも返事がない。それでは遠慮なく…… 「ん……ぅ!な、なにするの!」 「おはようございます。よく眠れましたか?」 サラサラな髪に指を通し額へキスを落とす。今日も彼女は可愛い。 「その起こし方はやめてって言ったはずなんだけど?」 きゅっと吊り上げた眉と少し厳しい目線。そんな顔をしてもますます愛おしくなるだけなのに。 「申し訳ございません。お嬢様があまりにも可愛らしかったもので……」 くすくす笑いながら謝罪の言葉を述べる。 それに怒ってしまったのか真っ赤な顔の彼女にそっぽを向かれてしまう。 しまった……これでは彼女の顔を堪能することができない。
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