執事の憂鬱

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そう耳元で囁けば彼女はびくりと震えた。 ああ……怯えた顔もますます可愛い。 こんなに弱くて脆い彼女は僕がずっとお守りしなくてはならない。 「お嬢様。ここ最近ずっと同じ質問をされますね。何かあったのでしょうか?」 わざと何も知らないふりをして顔を覗き込む。 「ねえミチル。私はもう直ぐお見合いをしなくてはならないの」 またその話か。 彼女は僕から視線を外し窓の外へと目を向ける。 そこに映る彼女の姿は今にも泣き出しそうに見えた。 「その件でしたら僕が既に終わらせておきましたよ。あんな奴はお嬢様に相応しくありません」 僕から彼女を奪おうとした男にはそれ相応の罰を与えておいた。だって仕方ないでしょう?
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