そして彼はいなくなった

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 五時間目。  卓弥の姿は教室に無かった。  ぽっかりと空いた穴のように、卓弥の席だけが無人だった。  静まり返った教室で、何事も無いように、先生は授業を進めている。  私の心臓はずっと早鐘のようにアップテンポで収縮を繰り返していた。 それは、時に苦しさを感じるほど。  原因は分かっている。  卓弥だ。  アイツがあんな事しなければ……。  いや、そもそも……。
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