そして彼はいなくなった

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 昼休みのことだった。  クラスの半分ぐらいが学食に向けて出ていく中、私は鞄の中からお弁当の包みを取り出した。  実は少し緊張している。    だって今日のお弁当は……。 「みっちゃん、一緒に食べよ」  親友の明菜が可愛らしいサイズの包みをもってやって来た。  小柄な彼女に良く似合う、小さな弁当箱が包まれているのだ。 「うん」  明菜は近くの空いている椅子に腰を下ろした。 「今日はいよいよね」 「うん」 「大変だったでしょう?」 「かなりね」  そう言いながら、パカッと蓋を開けたその時だ。
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