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「へへー、もーらい」
そんな声が背後から聞こえたかと思えば、にゅっと大きな手が伸びてきた。
「きゃっ!!」
可愛らしく驚いている隙に、手は私のお弁当箱からから揚げを一つ摘まんで取り上げた。
「あ、ちょっ……」
振り向いて何か言う前に、手の主は唐揚げを口の中に放り込んでいた。
「うーん……うんうん。まあ、ちょっと焦げてるっぽいけど美味いかな」
「卓弥、コラッ」
犯人は幼馴染の卓弥だった。
日に焼けた小麦色の肌、大きな手と引き締まった腕。
背が高くて、すらっとしてて、顔も悪くない。
……頭は悪いけどね。
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