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孝幸さんは、ソファーで何度もキスをしながら、耳元で甘く囁いた。
「実花。ソレイユにおいで。」
「あの、実は内定も決まってて。」
「はあっ!?」
タブレットの店舗一覧にあるNEW!と点滅している「プレーヌリュヌ」を押さえた。
「系列まで調べなかったわたしがアホなんですが、新店舗のオープンメンバーとして入社します。」
孝幸さんは、タブレットとわたしを見比べてから、大爆笑した。
「あははははっ!自分から飛び込んできたからには覚悟しろよ?
って!おい!ピンク頭の秋桜子と接触してんのに、わからなかったのか?」
「ええっ!?」
自ら面接をしてくれたオーナーは、確かに女性だった。
「黒髪のストレートロングでしたよ。」
「ウィッグ着けたり、カラーリング凝ったりしてるからな。きっと今頃、高笑いしてるな。」
いつか一人前になって、ソレイユに戻ってこれるよう、もっともっと勉強しよう。
「プレーヌリュヌのターゲットは女性だ。茶葉をブレンドして出すフレーバーティーや、糖質オフや低カロリーを意識した、オリジナルSWEETSを提供する予定だ。
実花にピッタリな店だな。たくさん吸収してこい。」
「ありがとうございます。」
チュッ。
「待っててね。」
「ああ。」
そして颯人さんと慧さんが、三姉妹を呼び出して、猛烈な抱擁と歓迎のキスを浴びせるのは、この時点では知るよしもなかった。
【完】
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