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「終わったー」
集めたゴミをちりとりに入れゴミ箱に捨てる。
「一人で全部やろうとしてたなんて…」
「ごめんなさい、手伝ってもらって」
「うちはサボり達の代わり。謝りたいのはこっちだよ」
「いや、これは私の仕事だから私の責任…」
誰かのせいではない。元はと言えば私が彼女たちを止めれば良かったのだ。そうすれば阿紀さんが手伝わなくて済んだ。だけど彼女たちは忙しいと言っていた。だったら止めてしまうのは間違いなのではないか?と言う疑問が頭を過る。だとすると全ての責任は私になると思った。
「違うよ。決まりを守らない奴が悪いんだから。黒森さんは真面目過ぎるんだよ。忙しいとか理由つけて言ってたんじゃないの?」
「忙しいとは言ってた。でも私はうんともすんとも言ってないんだけど」
「黒森さんの返事も聞かずに?」
私はこくりと頷く。
「なんで黙ってられるの?」
「何が?」
「辛いなら誰かに話していいんだよ?」
「辛い…?」
つい疑問系で返してしまった。だけど、私の中で『辛い』と言う言葉がどういったときに使うのか忘れてしまった。
だからこう答えた。
「何を言われたって辛いなんてこと思ったことない。私はみんなが幸せならそれでいい。私が言う義理はないから」
私の言葉に彼女は口が閉まらなくなっている状態だ。驚いたといった様子だろうか。そんな風に見えた。
「なんでそんなことが言えるの…?」
阿紀さんは恐る恐る私に聞く。
「辛いとか悲しいとか、嬉しいとか楽しいとかどういった感じだったのか忘れてしまったから」
私が彼女にどう映ったのかはわからない。だけど私は無表情にそう言った。
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