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湊side≫
「ほんと…全然わかんねぇ…」
「私も湊の言ってることがわからない」
「すみませんね、伝わらない日本語で」
俺は昔から何かを言葉にするのが下手だ。伝わらないだろうとはなんとなくわかっていた。
「私も悪いのは同じ。今度から言ってみる」
さっきと全く同じトーンで夕日はそう言った。
いつも気になるのは結局自分のせいにすることだ。なんで誰かが悪いことでも自分のせいだと言って話を終わらせるのかそこが気掛かりだった。
「じゃあ阿紀さんとはここで」
「あっ、もう駅だ」
いつの間にか学校の最寄り駅に着いていた。阿紀は気づかなかったようだが俺も夕日に言われて気づいたくちだ。
「じゃあね、夕日ちゃん。また明日」
「また明日」
阿紀は夕日に笑顔で手を振る。夕日も振り返すが、その顔は笑っていなかった。
その顔が俺の中で少し恐怖を感じてしまった。
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