梅雨の日の午後

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 放課後。  私は一人で掃除をしている。  1年からクラスに馴染めず浮いたというよりほとんどいないも当然な存在だった。そのため誰もが私をいない扱いにするか面倒なことがあれば私に仕事を任せる、そんな人たちばかりだ。  そんな彼ら彼女らに私は特に気にはしていなかったのだが、ただ、一人だけ全く違った。  その子の名は深海朝日といい、同じ中学からの知り合いである。朝日は笑いや怒ったり泣いたり喜んだりしない私にいつも話しかけてきて飽きもせず一緒に行こうと誘ってきた。彼女は何を求めて私といるのか全くわからなかったが朝日はいつも楽しそうだった。今日みたいに掃除を押し付けられても一緒にやると言って手伝ってくれた。毎回のように押しつけた人たちの悪口と言うのだろうか、グチグチとあーだのこーだの言っていた。  だが、今、彼女は学校にいない。  二年に入ってからの健康診断で引っ掛かってしまい、病院で検査をすれば済むものだと思っていたのだが想像を越えて数ヶ月入院することになってしまったのだ。朝日は心配するなとは言っていたが、私から見た彼女はいつもと何処か違っていたのを覚えている。  掃除も半分まで終わり、たくさんの机と椅子のセットを後ろから前に元の位置へ持っていく。残り半分の机と椅子をずらそうとしたときだ。 「えっ黒森さん一人!?」  突然大きな声がして扉の方を見た。そこに立っていたのは背まである髪を胸元にかけた女子生徒だ。背丈は私よりも高く何処かのモデルさんのような人だ。
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