アラビアン・ナイトに口吻を

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「旦那、今すごい顔してるよ」 「すごい、かお?」 「欲情しきった、女の子の顔。奴隷に尻を弄られてるこんな姿、誰にも見せられないね」 「だから……、あっ、そんなこと、言わないでくれ。んんっ……、マタルは……、もう、奴隷じゃない……」 「……」  俺はその言葉に、本気で驚いた。そのせいで胎内の指の動きが止まる。  自分はもう奴隷じゃない? まさか、人間だとでも言うのか?  そんなことを言われたのは人生で初めてのことで、驚けばいいのか喜んでいいのかわからない。ただこの目の前の男だけは、俺のことを対等に認識してくれている。それが信じられないほど胸に染み渡ったのは事実だった。 「マタル? どうかしたのか?」 「旦那……。俺、もう挿れたくてたまんない」  俺は乱暴に指を引き抜き、その代わりに猛ったモノを押し当てる。しかし挿れる瞬間に理性を取り戻し、ぐっと押しとどまった。せっかく人間使いしてくれているのに、信頼を壊すようなことはしたくない。 「ごめん、俺……」 「挿れて……、くれないのか?」  ハッと顔を上げれば、ぬれた視線と目が合った。いっそう膝を抱え、秘部を俺に曝してみせる。そうして腰をくゆらせ、俺の欲を誘った。初めてだといっていたのに、男を誘うのがこんなにうまいのはなぜなのか。 「挿れて、いいか?」 「早く、ほしい……。奥に……」  俺は自身のモノを当てなおし、グッとアシームの肉をかき分ける。指よりも質量のあるそれは抵抗感が強く、アシームが息を詰めるのがわかった。それでも首まで押し込め、アシームの上に覆いかぶさる。そうしてゆっくりと馴染ませるように、少しずつ奥へ奥へと入っていった。
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