言い訳からの導入

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 なんってこった・・・旅の変人に相談した自分が間違っていたぁ!と、父親は思ったかも知れません。  その後も鉄石は、柔らかい口調で父親を説き伏せます。 「武士は主君に使えるもので、主君という天上を突き抜けることが出来ない、だが、郷士にはその天上がない」  鉄石は放浪生活の中で、階級社会のぬるま湯に浸かりきった武士の姿を見て、これからの時代を変えるのは郷士である。と実感していたので。その事を八郎の 父親に説いたのです。    鉄石は父親を説き伏せただけで無く、八郎にもこの理論を説いて、このような田舎で埋もれて終わるので無く、大義を掴めとそそのかしていました。  鉄石が八郎の行く末をどう展望していたのか?それはわかりませんが、鉄石の「これからの時代は郷士が動かすのだ」との考えが、 後の「浪士組」結成への発想へ繋がり、その集団から派生した「新撰組」を産む原動力になったことは間違いないでしょう。
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