絵なんて観ないのに

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絵なんて観ないのに

キュッと唇を結び慙愧に震える睫毛を伏せてどうにかこうにか 僕は小さく頷いた。 「……そっか」  安堵のような息を吐きながら孝介が「よかった」と 僕の頭に手を載せて髪を撫でる。 「……三上さんは苦労しながら夢を追う若手芸術家を応援したいって言っていたから孝介が心配するようなことはないと思うよ?」 「絵なんて全然観ないんじゃなかった?」 「そうだけど」  三上さんは本は読まないし映画も観ない、 絵画にも全く興味がなく僕の作品の感想を求めても チラリと一瞥し「よくわからない」とすぐにそっぽを向いてしまう。
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