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「やっと涼しくなったね。」
「そう、だね。」
「少し生ぬるくはあるけど、、、
あ、見た?流れ星。」
「見逃しちゃった、かな。」
「そっか、、。残念だったね、、。」
雲ひとつない真夏の夜空。
目の前に広がる海を見ながら、君と過ごす時間。
月に照らされ映る少し困ったような笑顔の横顔。
わかってる。君は本当は空なんて見上げてなかったんだろ。
何を考えてるの?
何を思ってるの?
ドウシテーーーーー
「なにか、、言いたいこと、、話したい事、あるんじゃない?」
「ん?どうして?なーんにもないよ。」
「本当、に?」
「ほんとに。」
君はニカッと笑った。
その顔はどこか儚げで、影を落としているようで、救いたいのに、何かしたいのに僕にはどうすることも出来ない。
「ヨシ、ソロソロ帰ろっか!」
「うん、、。送って行くよ。」
「あはは。何急に?」
「たまにはいいじゃん」
「どーしたんだよ?」
可笑しそうに笑う君。
ねぇ、わかってる?
君は、、
「行こう。送る。」
ドウシテーーーーー
キラキラと遠くで輝く星に背を向けて歩き出す僕。その後ろを歩く君。
今度こそは。
今度こそはーーー。
ーーードンッ!!
「!!」
僕は勢よく振り返った。
それは君が、
さっきまで笑って歩いていたはずの君が
宙を浮いている瞬間だった。
通り過ぎるダンプカー。
何回転か繰り返しドサっと落ちた君は血まみれで
どうして
今回は先を歩いたのに
どうしてどうしてどうして
君はどうあっても必ず死ぬ。
僕が、何度繰り返しても。
ああ、次こそは。
次こそは必ず。
僕は抑えきれない涙を拭くこともせずに
左肩にあるボタンを押した。
Reset
Re : start
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