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娘 反撃
「×××さん…でしょ?」
なぜ、俺の名前を知ってる…?
男の額に汗が滲んだ。
周りの人々は、この奇妙な2人に気を留めることなく、横目でちらりと垣間見るだけで、声を掛ける者などいない。
普段と同様、いつもの地下街がそこにあるだけだった。
2人の異様な雰囲気以外は。
どこかで会ったことがあるのか?
いや、そんなはずはない。
こんなに年の離れた娘なんて…どう考えても接点がない。
男の頭の中は過去の記憶でかき回された。
いったい何がどうなって…
男は催した吐き気をゴクリと飲み込んだ。
「覚えていらっしゃらないようですね。
無理もない。
直接関係があったのは姉の方ですから」
娘は少しにやけながら言った。
しかし目は男を捉えたままだった。
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