輝かしい無関心

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 みすぼらしい男は真っすぐに150mを歩ききり、地下街へと入った。  男はその後を追って、初めて地下街に足を踏み入れた。  驚いたことに、誰もそのみすぼらしい男を蔑むことなく、かと言って干渉するでもなく、さらりと避けては各々目的地へと急いでいた。  白い目で見られるとばかり思っていた。  酷い仕打ちを受けるとばかり思っていた。  現実は、全くの無関心だった。  みすぼらしい存在を受け入れるでもなく排除するでもなく、視界に入っているのだろうが、それを自分の意志の中へと入れないまま、この地下街は動いていた。  男は初めて入った地下街の仕組みを悟った。
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