15人が本棚に入れています
本棚に追加
みすぼらしい男は真っすぐに150mを歩ききり、地下街へと入った。
男はその後を追って、初めて地下街に足を踏み入れた。
驚いたことに、誰もそのみすぼらしい男を蔑むことなく、かと言って干渉するでもなく、さらりと避けては各々目的地へと急いでいた。
白い目で見られるとばかり思っていた。
酷い仕打ちを受けるとばかり思っていた。
現実は、全くの無関心だった。
みすぼらしい存在を受け入れるでもなく排除するでもなく、視界に入っているのだろうが、それを自分の意志の中へと入れないまま、この地下街は動いていた。
男は初めて入った地下街の仕組みを悟った。
最初のコメントを投稿しよう!