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人ごみは嫌いだ
世界はこんなにも広いのに
アイツらは何故一つ所に集まるのを好むのか、なんとも訳が分からない
人ごみは好きだ
世界はこんなにも広いのに
彼らは何故一つ所に集まるのを好むのか、なんとも興味深い
人ごみは嫌いだ
互いに知らぬ人間同士が犇めき合うさまは、まるで冬眠中の天道虫を見ているようで吐き気さえする
人ごみは好きだ
互いに知らぬ人間同士が犇めき合うさまは、まるで生まれたばかりの蜘蛛の子達を見ているようで愛おしくある
人ごみが嫌いだ
嫌いで嫌いで嫌いで嫌いだ
人ごみが好きだ
好きで好きで好きで好きだ
「そう、壊したくなる程に」
……
……
「……んなわけあるかぁ!ちゃんと調べやがれ!」
「ホントなんですってぇ、いくら調べても被疑者2人の間に接点が見つからないんですよぉ」
「ネット方面の方からも洗ってみましたが、全くと言っていいほど接点は見当たりませんでしたね」
「んじゃなにか?全く見ず知らずの他人である2人が偶然、同じ日同じ時間同じ町の歩行者天国で端と端から無差別殺人をして回り、そして互いを殺しあったと、そうお前らは言うのか?」
「……いや、それは」
「そんな偶然、俺ぁ認めねぇぞ!とにかく接点を探しやがれっ!」
「……へぇ、ボクと同じような人が他にも居たとはビックリだね」
「だな、……神のお引き合わせってヤツかもな」
「アハハ、神様ってば何をしたいんだろうねぇ?」
「さぁな、知らねぇよ。俺は俺のやりたいようにやるだけだ」
「うんうん、確かに。……さてと、どうする?」
「……そりゃあ、やるしかないんじゃないか?お前もそうなんだろ?」
「そうだね、やろう。あ、そう言えば何故こんな事を?」
「……「嫌い」だからだ。お前は?」
「……アハハハハ!ボクは「好き」だからだよ!」
……
「「逆」」
「だな……」
「だね……」
「……さて、それじゃ始めるか」
「うん、それじゃ始めよう」
……
~完~
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